1/27/2010

ぶらんこ乗り。



「あなた」

とおくさんはさかさになったままいった。

「わたしたちはずっと手をにぎってることはできませんのね」

「ぶらんこのりだからな」

だんなさんはからだをしならせながらいった。

「ずっとゆれているのがうんめいさ。けどどうだい、すこしだけでもこうして」

と手をにぎり、またはなれながら、

「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」




いつもより早く目が覚めた朝、一番に頭に浮かんだフレーズ。

久しぶりにあの温かさに包まれたい。

いしいしんじ/ぶらんこ乗り

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